
FRAGRANCE · 2026.06.09
プルースト効果——なぜ香りは記憶を呼び戻すのか。
嗅覚は五感の中で唯一、視床を経由せず扁桃体と海馬に直結する。神経科学が説明する、香りの特権。
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マルセル・プルースト『失われた時を求めて』で、紅茶に浸したマドレーヌの香りが幼少期の記憶を呼び戻す——この有名な場面は、神経科学的にも正しい。嗅覚情報は、他の感覚と違って視床を経由せず、扁桃体(情動)と海馬(記憶)に直接届く。
だから香りは、言葉や画像よりも深く、本人すら忘れていた記憶を一瞬で蘇らせる。認知症の回想法(リミニッセンス・セラピー)で香りが使われるのも、この経路の強さに由来する。
アートと香りを同じ空間に置くことは、視覚記憶と嗅覚記憶を同時に作家の手に委ねる行為である。
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