第20回 / 全20回 · CULTURE & BRAND · 1970.01.01

次の10年、美と健康とアートの交差点で──RASが描く未来

これからのブランドは、「文化」になれるかどうかで決まる。近道はない。だが、道は確かにある。

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20回にわたって、798藝術区を歩いて考えたことを書いてきた。工場建築の話から、余白のデザイン、AIと創造性、五行の哲学、そして経営者の感性まで。最終回となる今回は、この視察から私たちが持ち帰った結論を、まっすぐに記したい。

結論は、ひとつだ。これからのブランドは、「文化」になれるかどうかで決まる。

理屈は、こうだ。機能で選ばれる商品は、より良い機能が現れた瞬間に置き換えられる。価格で選ばれる商品は、より安い価格の前に敗れる。機能と価格の競争は、終わりのない消耗戦だ。参加し続けることはできるが、勝ち続けることは難しい。

しかし、美意識と物語で愛されるブランドは、簡単には置き換えられない。使う人の暮らしの中に、記憶の中に、アイデンティティの中に、居場所を持ってしまうからだ。それはもう、単なる商品ではなく、その人にとっての小さな文化だ。798が20年かけて、ただの工場跡から世界の文化になったように、ブランドもまた、時間をかけて文化になっていく。近道はない。だが、道は確かにある。

Instinct Rasは、その挑戦のエンジンになる会社だ。私たちには、AIという武器がある。処方設計の自動化をはじめ、テクノロジーは開発のスピードを劇的に上げてくれる。しかし、この連載で繰り返し書いてきたとおり、スピードは方向を教えてくれない。方向を決めるのは、人間の美意識だ。テクノロジーで開発を速くしながら、人間の美意識で方向を決める。効率と感性の両輪で、美と健康の新しい文化を、アジアから作っていく。

798の路地で感じた、あの静かな熱量を覚えている。大声ではないのに、確かに熱い。あの温度を、私たちの仕事の中に灯し続けたい。会議室に、研究室に、製造現場に、そして皆さまに届く商品ひとつひとつの中に。

長い連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。次はぜひ、私たちの商品と、その先に続く物語の中で、お会いしましょう。

INSTINCT RAS · MAGAZINE