第8回 / 全20回 · CULTURE & BRAND · 1969.11.20

アートとAI──創造性は、どちらのものか

問いを立てる人間と、解を探すAI。AIの性能が上がるほど、差がつくのは問いの質になる。

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Instinct RasはAIを軸にした会社だ。処方設計の自動化(F1)をはじめ、テクノロジーで美容の開発プロセスを変えようとしている。そんな私たちが798でアートを見ながら考え続けていたのは、「創造性はどこに宿るのか」という問いだった。

AIが絵を描き、文章を書き、音楽を作る時代だ。「人間の創造性はAIに置き換えられるのか」という議論は、あらゆる業界で交わされている。798のアーティストたちの仕事を目の前にして、私なりの答えが、少しはっきりした。

アーティストの仕事の核心は、突き詰めれば「問いを立てること」だ。何を美しいとするか。何に違和感を持つか。世界のどこに、まだ名前のついていない感情があるか。作品とは、その問いに形を与えたものだと思う。技術は問いに仕えている。

一方、AIが圧倒的に得意なのは「解を探すこと」だ。膨大な組み合わせの中から、条件に合う最適なものを見つけ出す。その速度と網羅性は、人間には決して真似できない。私たちのF1も、まさにこの力を使っている。求める使用感や特性を入力すれば、処方の候補を高速で設計する。

つまり、アートとAIは対立しない。役割が違うのだ。問いを立てる人間と、解を探すAI。この分業が成立したとき、創造のスピードと深さは同時に上がる。F1がどれだけ優秀でも、「こういう使い心地の商品で、こういう人の毎日を変えたい」という問いは、人間にしか立てられない。問いのないAIは、ただの高速な計算機だ。

逆に言えば、AIの性能が上がれば上がるほど、差がつくのは「問いの質」になる。誰でも解にはたどり着ける時代に、どんな問いを立てられるかが、企業の独自性そのものになる。

798の帰り道、確信したことがある。AIの時代にこそ、問いを立てる力──つまり美意識と、世界への違和感を大切にする感受性が、いちばんの競争力になる。だから私たちは、AIの会社であると同時に、アートを見る会社でありたい。

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