SCIENCE · 2026.06.03
ドーパミンと、最初のひと目。
ある作品の前で足が止まる瞬間、脳内で何が起きているのか。報酬系と美的経験の神経科学。
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美術館で、ある一枚の絵の前だけ足が止まる。理由は説明できない。けれども確かに、何かが起きている——その「何か」は、神経伝達物質ドーパミンの放出として観測できる。
腹側被蓋野から線条体へと走る中脳辺縁系の経路は、報酬を予測した瞬間に発火する。重要なのは「報酬そのもの」よりも、「次に来るかもしれない」という期待である。優れた作品は、見る者にこの予測誤差をたびたび生む。
私たちが扱う作家は、見慣れた構図の中に必ずひとつの裏切りを仕込む。脳がそれを発見した瞬間、ドーパミンは静かに増える。コレクションとは、その小さな放出を生活の中に置き続けることだ。
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